第13章 おとぎのくにの 5
「突然あんな話をされて当然戸惑ってるだろうし、簡単に受け入れられるものではないと思う。不安も大きいだろう、そんなの当たり前だ」
お兄さまが心から心配してくれているのが伝わってくる。
「でも俺のサトへの愛は性別なんかで変わらないから。それは心配しなくていい。兄さまを信じなさい」
私を少しでも安心させようとしてくれるお兄さまの気持ちが嬉しくて。
変わらない愛情を向けてくれることに安心して。
泣いてしまうかと思った。
お兄さまは最後にもう一度私の髪の毛をくしゃりと撫でると、今度はカズに向き合った。
「カズもだよ。カズが男でも女でも、うちの養女になってもならなくても。俺は変わらず大切な家族だと思ってるからな」
私にしたのと同じように、カズの頭を優しく撫でながら、カズともしっかり目を合わせる。
言葉だけじゃなくて、態度でも本当に大切だよって伝えてくれるお兄さまに、カズも目を潤ませた。
「ありがとう、お兄さま」
「ありがとうございます」
お礼の言葉はカズと揃って。
ほぼ同時に2人で頭を下げたら、お兄さまは照れくさそうにはにかんだけど。
「これからも2人のことは兄さまが守ってやるからな!だから何も心配しなくていい!」
そう言い切ってくれるお兄さまは本当に頼もしくて。
とても心強かった。