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イロイロ【気象系BL】

第11章 キミ色フォルダ Root Green



ニノは足は速いけど、体力はあんまりないみたいで。

少しずつペースが落ちてきてて、ニノとの距離は確実に縮まってる。

俺は部活で鍛えてるからね。
少し息が上がってきたけど、まだ余裕はある。

裏庭に着く頃にはニノはちょっとフラフラしてて。

そんなニノをそろそろ休ませてあげたいって思って…いや、走らせてんのは俺なんだけど。

俺に諦める気はないから、早く休ませるためには早く捕まえるしかない。

もう一気にカタをつけてしまおうと、力を振り絞って走るスピードを上げて。

「ニノ!」
「わっ…」

腕を伸ばしてニノの細い腕を力任せに掴む。

ニノはもう限界だったのかバランスを崩して。
そのまま倒れそうになったから慌てて抱きとめた。

「捕まえた…」

そのまま、ゼェゼェと苦しそうなニノををぎゅっと抱き締める。

「やめて…離してよ…」

ニノは腕の中でジタバタ暴れたけど、全然弱っちくて。

そんな非力なところも可愛くて。
こんな時だけどキュンとしてしまう。

「ごめん…でも、絶対離さない」

言葉だけじゃなくて、腕にも力を込めてニノを離す気はないと伝える。

ニノはしばらくもがいていたけど、やがて逃げられないと諦めたのか、急に脱力しておとなしくなった。

深呼吸を繰り返して荒れた息を整えようとしてるニノを抱き締めたまま、その背中をそっと擦る。

こんなに華奢で可愛くても抱き締めるとやっぱり女の子とは違う。

柔らかさもないし甘い香りもしない。
ああ、やっぱり男だなぁって実感する。

でも全然嫌じゃない。

嫌じゃないどころか、いつまででも抱き締めていたいと思う。

ニノと話をしなきゃいけないし、ここは学校だし、ずっとこのままなんて無理に決まってるんだけど。

せめてニノの呼吸が落ち着くまで…と、そのままニノの背中を擦り続けた。

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