第11章 キミ色フォルダ Root Green
こういうのは時間が経てば経つほどこじれる気がするから、絶対今日中にニノを捕まえて話をするんだ!
残るチャンスは放課後だと気合を入れて、その時を待つ。
SHRが終わると、先生が教室を出るより早く、ニノがカバンを掴んで教室を出て行った。
でもそんなの予想済みだもんね。
「待って!ニノ!」
間髪入れずに、俺も後を追って教室を飛び出す。
「雅紀ー!頑張れよー!」
「相葉くーん!頑張ってー!」
面白半分に声援を送ってくれるクラスメイトには片手を挙げて応えといた。
ニノはチラリと振り返って、俺が追い掛けてることに気付くと、ギョッとした顔をして走り出した。
逃がすもんか!
「ニノー!待ってってばー!」
すぐ捕まえられると思ってたのに、意外にもニノってば走るのが速い!
帰宅部なのがもったいないくらいだよ。
でも俺も走るのは得意なんだ。
下校時で人の多い廊下をスルスルと走り抜けて行くニノを見失わないように気をつけながら追い掛ける。
「ニーノー!待ってー!」
大声でニノの名前を呼びながら走ってるもんだから、はっきり言ってめちゃくちゃ目立ってる。
ただでさえ、ニノは今話題の人だし。
「え?なになに?」
「二宮くんと相葉くん?」
「鬼ごっこしてるのかな?可愛い♡」
遊んでるように見えるのかキャーキャー盛り上がってる声が聞こえてきて、見世物みたいでちょっと恥ずかしい。
先生の「廊下を走るな!」って声も聞こえた。
でも恥ずかしさにも先生のお説教にも負けてらんない!
だってまだニノを捕まえられてないから。
廊下を走り抜けて階段を駆け下りて。
校庭へ出たと思ったら校舎を回り込んで裏庭へ。
さすがにニノも恥ずかしかったのかな。
だんだん人気のない方へ向かって行く。