第11章 キミ色フォルダ Root Green
その夜は一晩中、反省しまくって。
もう一度自分の気持ちを見つめ直したりもした。
彼女って単語が出てくるってことは、もしかしたら無意識に女の子としてニノを求めているのかもしれないって。
ちょっと自分の気持ちを疑っちゃって。
だってニノを意識しだしたキッカケは、どうしたって女装姿を見たことなんだから。
実際、今日のニノもめちゃくちゃ可愛かった。
何度その可愛さに胸がときめいたか分からない。
でもやっぱり違う。
何度も何度も考えたけど、俺は顔が可愛いだけでニノを好きになった訳じゃない。
言っちゃなんだけど、ミスコン以降、俺に告白してくれる子は前より増えていて。
例の突然俺を振った元カノも、俺が準グランプリを獲ったと知るなり復縁を迫ってきた。
「離れてみて、やっぱり相葉くんが好きだって気付いたの」
なーんて、目に涙を浮かべながら擦り寄ってきたけど。
どう見ても嘘泣きで。
あんな振り方したくせによくそんな白々しいこと言えるなーって感心はしたけど、俺の心には何にも響かなかった。
それにちょっと話しただけで、彼女が欲しいのは準グランプリっていう肩書きを持つ彼氏であって、それは別に俺じゃなくてもいいんだって分かっちゃって。
泣く(フリをしてる)元カノを見ても、俺って本当に見る目がなかったんだなって思うだけだった。
もちろんキッパリ断って、それでおしまい。
特に腹が立ったりもしなかったし、むしろもう元カノにはなんの未練もないって分かって、良かったと思った。
まぁ、この元カノは論外としても。
俺に気持ちを伝えてくれる子の中には、めちゃくちゃ可愛い子だっていた。
前の俺だったらOKしちゃってたかもしれない。
でももう可愛いだけじゃ俺の心は動かなかった。