第11章 キミ色フォルダ Root Green
確かに急な質問だったかもだけど、これはずっと気になってたこと。
「だって1日中俺が振り回しちゃったから…」
「そんなこと……え?もしかして俺つまらなさそうに見えてた?」
「ううん!楽しそうに見えてたよ!でもさ…」
不安そうに確認するニノに、そんなことないと慌てて否定する。
俺の目にはニノは楽しそうに見えてた。
でもさ、知らなかったとはいえ、初っ端からニノが苦手な絶叫系に乗せちゃって。
お化け屋敷では怖い思いをさせただけじゃなくて、俺が醜態を晒したせいで無理させたと思うし。
結局最後までニノが自分から何かに乗りたいとか何かをしたいとか言うことがなかったのも気掛かりで…
要するに、俺にニノを楽しませてあげられたって言える自信がないんだ。
ニノは何かを探るように俺をじっと見つめてから、にこっと笑った。
「俺、楽しかったよ」
まるで俺の心配を吹き飛ばそうとしてくれてるみたいな笑顔。
俺が何を考えてこんな質問したのか、ニノには分かっちゃったのかもしれない。
「今日はありがとう」
「いや、ありがとうは俺のセリフなんだけど!」
ニノがぺこりと頭を下げるから、また焦ってしまう。
だってチケットは元々ニノのもので。
俺は半ば強引に約束を取り付けて。
今日は好き勝手楽しませてもらって。
文句を言われることはあっても、お礼を言われるようなことはしてないんだよ。
でもニノはふるふると首を横に振った。