第11章 キミ色フォルダ Root Green
「あの…チケットあげるから、雅紀の好きな人と行っていいよ?雅紀友だち多いじゃん…ほら、可愛い女の子誘ってもいいし…俺に気なんか遣わなくていいから…」
もー!なんでそんなこと言うかな!
自信なくなっちゃうからやめてよ!
「俺はニノと行きたいの!ニノは俺とじゃ嫌なの?」
「い、いやじゃない…」
ニノがブンブン首を振ってくれて、とりあえずホッとする。
でも勢いに押されただけかもしれない…
「本当に嫌じゃない?」
念のため、もう一度確認したら
「うん…うれしい…」
ニノはポツリと呟いて。
頬を染めてふわりと微笑んだ。
本当に嬉しそうなその笑顔はとても綺麗で。
でもどこか儚げで。
ドキドキと心臓がうるさい。
でも、それ以上に周りのざわめきがうるさい。
ヤバい!
「…えっと…そうだ!遊園地のお礼に今日の昼飯は俺が奢るよ!」
「え?いいの?」
慌てて話を変えたら、ニノの目がきらっと光った。
「もちろん!金券あるし!」
「わーい♡じゃあ、遠慮なく♡」
さっきの儚さは幻かと思うくらい、図々しく喜ぶニノ。
遊園地に一緒に行くのは遠慮するのに、奢られるのは断らないって、基準が謎じゃない?
まぁ、あれ以上俺以外のやつらにあんな可愛いニノを見せたくなかったから全然いいんだけど。
「何にする?」
「うーん…やっぱりラーメンかなぁ…」
ちょっと悩んでたけど、結局ニノが選んだのはラーメン。
「え?結局ラーメンなの?」
「いいの!雅紀は?」
「俺は………唐揚げ定食、かな」
でも、人のことは言えない。
俺だって結局はいつも通り。
「雅紀もじゃん!さっきの会話はなんだったのよ?」
「あはは!しょうがないよね、だって好きなんだもん」
2人でケラケラ笑ってから、いつもと同じメニューを食べて。
いつも通りの時間を過ごしながらも、胸のドキドキはなかなかおさまってくれなかった。