第11章 キミ色フォルダ Root Green
あまりにも無反応だから、気にならないの?って聞いてみたことがあるんだけど。
「こんなバカみたいな騒ぎ、どうせ一時的なものでしょ。相手しなければすぐ静かになるよ」
…って、めっちゃ冷静な答えが返ってきた。
「大体、今まで俺の存在なんて知らなかったくせに、ちょっと女装しただけで途端にコロッと態度変えるやつらなんて信用出来ない」
うん、ごもっとも。
でも、俺も女装を見てニノの可愛さに気付いた大勢の内の1人だからちょっぴり耳が痛い。
今は、ニノと一緒にいると楽しくて。
すごく居心地が良いから仲良くしてるんだけど。
周りのにわかファンと大差ないじゃないかって言われたら反論出来ない気がする。
でもニノは俺には普通に…ううん、普通以上の態度で接してくれる。
今だって、キャーキャー騒がれてて。
俺に聞こえてるんだから、当然ニノにも聞こえてるはずなんだけど。
「席なくなっちゃうから早く行こ」
ニノは何にも聞こえてませんって顔して、俺の腕を引っ張って。
俺だけに最高に可愛い笑顔を向けてくれる。
それが嬉しい。
ものすごく嬉しい。
「早くって、ニノを待ってたんだろ!」
「ふふ、ごめんね」
だから俺も周りの声なんて聞こえてないフリをして。
いつも通りを意識しながらニノに笑顔を返した。