第11章 キミ色フォルダ Root Green
実際にはこんなに可愛いニノが笑われることはまずないだろう。
これだけ人が多いなら俺たちも人混みに紛れたら目立たないだろうと思ってたけど、そんなことは全然なくて。
ここに来るまでも常に人の視線を感じてたし、今も注目を集めまくってる。
みんなの視線は主にニノに注がれてて。
あの可愛い子は誰だって。
あんな子うちの学校にいたかって。
そんな声がひっきりなしに聞こえてくる。
それくらい可愛いんだもん。
笑われるなんてありえないよ。
ただね、そんな状態だったから、繋いでた手は途中で離してしまった。
ニノの正体がバレた時に、ニノが揶揄われたらイヤだなと思って。
まぁ、今日はお祭りだし。
ミスコン前のパフォーマンスだったとか、いくらでも言い訳は作れる気はするけど。
でもそんな騒がしい中、当の本人は気付いてんだか気付いてないんだか、周りを気にする様子は一切なくて。
ニノってば実は鈍いのかなって思ってたけど、今の話を聞いて分かった。
ニノは言葉通り、本当に他人の目なんかどうでもいいと思ってるんだ。
今もその瞳には俺しか写ってなくて。
「誰にどう見られても構わないから…だから緊張もしないんだよ」
えへへ、とはにかむニノが堪らなく可愛い。
可愛くて、愛おしい。
自然と愛しいなんて思った自分に少し驚いたけど、そんな感情をニノに対して抱いたことには違和感も何もなかった。
それくらい自然な感情だった。