第11章 キミ色フォルダ Root Green
まぁ、そんなこんなで俺とニノは仲の良い友だちのままで。
そのくせ、ニノの可愛さは俺だけの秘密にしておきたいとか身勝手なこと考えてたけど…
それはまぁ無理な話だったよね。
「きゃー♡二宮くん可愛いー♡」
「え!?マジでニノなのか!?」
「ヤベェ!超美少女じゃん!」
「これは勝ったな!」
今日は文化祭。
コンテストのために、張り切った女子たちの手によって再び美少女に変身したニノを、クラスメイトが取り囲んで大騒ぎしてる。
そのあまりの可愛さに男子も女子も大興奮だ。
そうだよなぁ。
そもそもはこのコンテストがきっかけだもんなぁ。
あの日の女装も衣装合わせだったんだっけ。
人前に立つこと前提だったんだから、最初から隠しておけるわけなかったんだよ。
でもニノを変身させてくれた女子はさておき。
今までニノを意識したことなんてないであろう男子たちが急に色めきだってデレデレしてんのが気に食わない。
俺だって女装してんの見てから気になりだしたんだから、全くの同類なくせに。
でもあいつらと一緒なのが嫌で。
あの輪の中に入って行こうとは思えない。
「マジで可愛いなぁ」
「ニノなら男でも付き合えるわ、俺」
調子に乗ってニノの肩を抱こうとするやつがいてイラッとする。
ニノに気安く触んなって言いたい。
でも言えない。
だってあんなの男同士でふざけてるだけだし。
大体ニノの告白に返事もせずにいる俺に、そんなこと言う権利なんてない。