第11章 キミ色フォルダ Root Green
何気なくポケットに手を入れたら、指先に何か当たった。
なんだ?
取り出してみたら飴だった。
そういや、こないだ女子にもらって後で食べようとポケットに突っ込んだんだっけ。
そのまま忘れてたや。
…あ、そうだ!
「ニノ、口開けて!」
「は?」
「アメちゃんあげる!教えてくれたお礼!」
怪訝そうな顔をしてるニノの口に強引に飴を押し込む。
本当に何の気なしにやったんだよ。
お礼半分、ちょっとした悪戯心半分で。
何すんだよ!とか、お礼が安い!とか。
きっとそんな反応が返ってくるだろうなって思ってさ。
でも俺の指が唇にチョンと触れた瞬間、ニノは一瞬で耳まで真っ赤になって。
そのまま何も言わずに固まってしまった。
告白はされたものの、それ以上は望まないと言ってた通り、仲良くなってからもニノの態度は友だちに対するものでしかなくて。
だからウッカリ忘れがちなんだけど。
こういう反応されちゃうと、ニノって本当に俺が好きなんだなって実感しちゃって、なんか俺まで照れる。
軽い気持ちでこんなことして悪かったな。
でも真っ赤な顔で涙目になっちゃってるニノも可愛い。
最近の俺は、ニノが何をしても何を言っても可愛いとしか思えなくて。
それでもって、ニノがこんなに可愛いってことは出来たら俺だけの秘密にしておきたいとか思ってて。
これってさ…
この感情ってさ…
もう答えは見えてる気がするんだけどね。
今のニノとの関係が心地よくて、まだしばらくこのままでもいいんじゃないかって思っちゃう俺はズルいかな。