• テキストサイズ

innocence

第5章 蒼の目覚め


喰われる。私の体の中を粒子が超高速で這い回る。私の心が、喰い潰される……!
「……っ!?」
瞬間、首の後ろに鋭い痛みが走った。
ぷつり、と自らを繋ぎとめていた糸が切れる。
私の意識はじわじわと闇に包まれていき、……やがて、何も見えなくなった。

「郷未っ!!」
郷未が急に苦しみ出したかと思えば、何者かに狙撃された。
意識を失い、倒れ込んだ細い身体をすんでのところで受け止める。うなじに手を当てると、血こそ出ていなかったが、極めて細い針のような物体が刺さっていた。
「麻酔銃……。人間用に改良されたものか」

「________君だな。ワームについて調べ回っているのは」

草むらが揺れ、背広姿の男が姿を現した。拳銃を懐にしまい、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
「……貴様、よくも郷未をっ!!」
はらわたが煮えくりかえりそうになり、ゲーマドライバーを構えるが、男に制された。
「待ってくれ!俺は敵じゃない。その子は眠っているだけだ。
俺の名は加賀美新。……鏡飛彩くん、君と話がしたい」
加賀美の瞳はとてもまっすぐで、嘘をついているようには見えなかった。
しかし、こちらは想い人を撃たれたのだ。そう易々と話に乗るわけにはいかない。
「……いいだろう。ただし条件がある。それ以上近寄るな」
俺はベンチに座り、郷未の頭を膝の上に乗せた。いわゆる「膝枕」を男女逆にした体勢である。
加賀美は俺の要求通り、一定の距離を保ったまま動かずにいた。
/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp