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Short story

第1章 憧れの人


カァァン!

キイィーン!

剣と剣が交わる音が響く。

『どうしたの!?受けるばかりじゃなくてかかってきてよ!』

「…。じゃあ、行くよ!」

セシルは下から上と大きく剣を振り、メロディの剣を吹き飛ばした。

『…ふぅ。また負けちゃった。』

淋しそうに肩を落とす。
その姿にセシルは申し訳なさそうにする。

が。

『よしもうひと勝負!』

すぐに気を取り直す。

「ふっ。」
その様子にセシルは笑いをもらす。

『あ!何!いま笑った!?人が頑張ってるのにー!』

「ねぇ、メロディ。僕の前では頑張らなくていいよ。」

セシルがメロディの腕を掴む。

『え?』

驚いてメロディはセシルの方に向き直す。

「僕が君の側にいる時は、僕が君を守ってあげるから。」

メロディは急に心拍数が上がった。

また、いつもの天然発言か?

メロディは疑ったがセシルはいつもより真剣な眼差しだった。

『それって…どういう…?』

「メロディ、好きだよ。」

『えっ、嘘。絶対嘘だ。』

「嘘じゃないよ。」

『だってローザちゃんがいるでしょ。』

「ローザは幼馴染だ。
言っただろ、君はクラスで1番可愛かったって。
僕は君の事ずっと見てた。
士官学校の時も、兵学校に入った時も。
君は僕のこと忘れてたみたいだけどね。」

「君に気付いてほしくて出た武闘大会だったけど、まさか決勝戦の相手が君だとは夢にも思わなかったよ。」

セシルはくすくすと笑う。

突然の告白にメロディは戸惑いを隠せなかったが、嬉しくて言葉が出てこなかった。

『ひとつだけ間違いがあるよ。セシルの事忘れてないよ。士官学校入る前からあなたは私の憧れだった。こんな形で再会できるとは思ってなかったけど。いつもあなたのこと目標にしてたの。』

『嬉しい。』

セシルはメロディの気持ちを確認するとその場で抱きしめた。

『あ』
しばらくするとメロディは思いたったかの様に突然腕から離れた。

『よーし、これからは毎日一緒にいられるね!明日から毎日稽古しよ!』

メロディは満面の笑みを浮かべた。

セシルは一瞬ため息をついたが、彼女らしいとすぐに諦めた。

「これから毎日可愛がってあげるよ!」

『何をー!こっちのセリフだよ!』

これから毎日幸せな稽古が始まる。
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