第4章 もう一度触れたくて
サボは、引っぱたかれた頬を抑えながら、落ちた書類を拾った。
(嫌われた…)
その後、仕事が手につかず、ベッドに寝転がってふて寝をしていると、ドアを叩く音が耳に届く。
…トントン…
サボは起き上がり、ドアを開けると書類をミスしたメンバーがやり直した書類を持ってきていた。
「…すみませんでした。」
「バカやろう!何やってる!意味が違ってくるんだぞ!!」
サボの怒鳴り声に、驚くメンバー。
「もういい、いけ!」
完全に八つ当たりだった。申し訳ないと思いながらも、自分の気持ちを抑えることが出来ないでいた。再びベッドに寝転がり、目を閉じた。
(何やってんだ…俺は…)
リラは部屋に戻ると、ベッドに膝を抱えて座り、サボとのキスを思い出し、唇をなぞっていた。
「好きじゃないくせに…ドキドキさせないでよ…先日会ったばかりなのに…」
独り言を呟いて、膝に顔を埋めた。
それからの二人は、お互いに会わないよう努めた。それはコアラたちが、偵察から帰ってくるまで続いた。他のメンバー達は二人がそんな状況になっているとは、つゆ知らず。食堂の女性を除いては、特に気にもしなかった。
数日後。
「コアラさん、おかえりなさい!」
ニコニコしながらコアラを迎える。
「リラちゃん、ただいまー!」
コアラが抱きついてきた。
「リラちゃんの笑顔、可愛くて癒される〜!サボくんはー?」
迎えにサボが来ていないことに気がつくコアラ。
「…分かりません…部屋にいるんじゃないかな…?」
視線を逸らして答えるリラに、コアラは違和感を覚えた。
見送りは二人で来てくれたのに、迎えには彼女一人だったから。
「…そう。リラちゃん、あとで部屋に行ってもいい?」
「…あ、はい。」
そう答え、リラは部屋に戻った。