第4章 もう一度触れたくて
コアラは、ドラゴンへの報告を済ませ、荷物を置いてすぐにリラの部屋の扉をノックした。
…トントン…
「はーい?」
「わたしー、コアラよ。」
「どうぞ。」
中に入ったコアラは、ベッドに座って本を読んでいるリラの隣に座った。
「ねぇ、リラちゃん、サボくんと何かあった?何かされた?」
座るなりリラへ、疑問をぶつけた。
「…え…な、何も…?」
隠すように言われた答えに納得がいかず、コアラはさらにリラを追及した。
「嘘。何かあったとしか思えない。見送りは二人で来てくれたのに、迎えにはリラちゃんだけって。」
「…ははは…たまたま…じゃないですか?」
苦笑いをする彼女の肩をコアラは掴んで、ぶんぶん揺らした。
「リラちゃん!!ホントのこと言って!場合によっては、サボくんぶん殴るからッ!!」
「…それは可哀想だから殴らないであげて…?」
「何かされたの?もしかして襲われた?」
「…ううん…キス…されたの…。」
「無理やり?」
「よく分からない…成り行きっていうか…。」
「それで、サボくんにキスされて嫌だった?」
「…ううん。でも、可愛い人なら誰にでも、好きじゃなくてもキスするんだって思ってサボを引っぱたいたの…。」
「…なるほど、わかった。」
そう言ってコアラはリラの部屋を出て、隣のサボの部屋の扉を叩いた。
「サボくん!いるの?」
ドンドンドンと乱暴に叩くと、サボが煩そうに扉を開けた。
「…コアラ、帰ってきてたのか。」
「迎えに来なかったわね!」
コアラはサボの頬をグイッと抓った。
「痛ててっ!やめろ!」
「ちょっと話がある、入るわよ!ねぇ、サボくん。リラちゃんに何した?」
「…なっ?!何もしてねぇよ…」
「いや、何かしたでしょ。だから気まずくて一緒に迎えに来なかったんでしょ。何したの、言いなさい!」
コアラがサボの両頬を抓ろうとすると、サボが腕でそれをガードした。
「わかったって、言うよ…」
コアラの抓りはかなり痛い。痕が付くのは困ると思ったサボは、
正直に言うことに決めた。