第13章 蹂躙-☆
寒い。痛い。気持ち悪い。寒い。寒い。寒い。
帰らなきゃ。何処に行こう。何処にも帰れない。
口轡はまだ取られずに全裸で縛られたまま、時刻は就寝の時を迎えているようだった。
此処は何処だろう。俺、何でこんな事になってんだろ。
全身に雄の臭いを叩きつけられ。殴られ蹴られ。
誰がやったのかも分からない。
……このまま朝を迎えるのかな。
閉じられた視界がやけに冷静にさせてくれた。全身にまとわり付いた生温かい体液はもう冷たくなっていた。
と、静かにドアが開いた。ガン、と燭台が落ちる音がした。
「……お前……」
低い声は、かつてないほど震えて居た。
駆け付けられて目と口に施された布を剥がす。抱き締められると彼の身体は温かかった。
「俺の部屋にも寮室にも居ないと聞いた……だから学校中を探し回ったんだ……レドモンド達にも頼んで、寮を越えて探し回っていた……お前がまさか、こんな所に居ただなんて…………!!」
見渡すとそこは殺風景な部屋で。木箱以外は何も無かった。強いて言うなら何かが腐ったような臭いはしたけど。それを気にする余裕は無かった。
「たす、けて、ずっと、よんで、た……ハーマン、くる、しんじ、てた……っ」
泣きながら彼を抱き締めた。
彼はそんな俺を抱き締め返した。
「グリーンヒル……」
背後からレドモンドの声がする。
「これは、一体……?」
レドモンド、ブルーアー、バイオレット。そして俺を抱き締めるグリーンヒル。
P4全員が集まってこの状況を凝視していた。
「偶然にしては……状況は似ているな?」
ブルーアーが頬に汗を伝わせながら呟いた。レドモンドは下唇を噛み締めながら歩み寄ってきた。
「レーベ。誰にやられた?」
ゆっくりとした口調で何度も繰り返し訊かれる。
俺は首を横に振った。
「わ、からない……」
「……少なくとも二人以上じゃなきゃ、こんな事出来ないよね」
バイオレットが眉間にシワを作りながら言った。グリーンヒルは自分の羽織っていたローブを俺に被せると担ぎ上げた。
「解析は後だ。……今はそんな事をしている場合じゃない」
そう言うとドアを開けて出て行った。