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暖かく、冷たく

第1章 片思い


「轟くん、暑い…」
通学中、は俺の右手と指を絡める。
とは小学生のときからの付き合いがある…いわゆる幼馴染。暑いというは半袖を着ていない。

「半袖を着ろ」
「だって、クーラーって苦手だもん…。だから長袖を着るんだよ…。
でも、外に出ると暑くて溶ける…」
いかにも溶けそうな顔をしては言った。
は温度調節が苦手だ。
夏は冷房がきいた部屋が苦手だからいつも長袖を着ている。
さらに冷房が強いとブレザーを羽織る。
一体どんな生活をしたらこうなるのか…分からねぇ。
普段から長袖を着ているせいで外に出ると『暑い』と言う。
クーラーのきいた教室にいるとき、はブレザーを着ているのに、さらに『寒い』と言う時もある。
本人が寒い時は俺の腕を掴んだり抱きついたりしてくる。

冬には暖房のきいた部屋に長時間いると、は気持ち悪くなる。
換気が悪ィせいだと言っていた気がする。
『頭が痛いから、頭を冷やしたい』とは言って俺の手をおでこにのせる。
は冬なら冷やせ、夏なら暖めてほしい。

小学生の時と初めて同じクラスになったとき
『私はその個性、好き』と言ってた。
そのせいもあって親父から譲り受けた炎の個性も嫌いじゃなかった。

一体どんな環境で過ごしたら、こんな体になるのか知りたくなる体質だと思う。が、俺も俺でどうやらに甘いらしい。
実際に#001#を暖めたり、冷やしたりしているのも事実。

「やっぱり轟くんは私の中では必要だねー…」
俺の腕を頬ずりして、体を冷やしながら歩く。
「体温調節としてか?」
「そこじゃなくて、轟くんと話すの楽しくて好きだよ!
あと勉強も教えるのも分かりやすい!
あと一緒ににいるだけで幸せ!それだから轟くんは私にとって必要!」
目を輝かせて俺を見つめながらは言った。は自慢げな顔をする。
の表情豊かなところが好きだ。でも今はそれを伝えれねぇし、上手く伝えれねぇ。
「…そうか…」
この言葉を言うだけでいっぱいだった。
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