第1章 片思い
「…」
夢の中で轟くんに呼ばれた気がした。
目を開けようと、開けるまつ毛が認識できるぐらい近い轟くんの顔と
唇から伝わる熱と柔らかい感触。
ようやく理解した、分かった…。
轟くんとキスしていたことと、
その熱を求めて、轟くんのキスを強請るように舌を動かしたこと。
そのせいで轟くんは私が起きていたことに気付いて
離れようとしたけど私が抱き寄せてそれを阻止した。そのせいで轟くんは私の体を抱き寄せ、私の頭を持って固定する。
そして、お互いを求めるようにー…角度を変え、唇を貪った。
「ふっ、…ん、」
自分でも信じられないぐらい甘ったるい声が漏れる。
その声を聞いた轟くんの舌で私の口内を激しく犯していく。
舌で歯茎をなぞられて、体がびくっと反応した。
自分でも分かるぐらい興奮する。
唇が離れるとお互い、息を上げた。
「、と…、とどろき…くん、」
「…いつから、…起きていたんだ…?」
轟くんに訊ねられ
「キスしているとき…?」
そう答えた途端、急に恥ずかしくなった。
「…起きているなら言え」
そう言うと轟くんは背中を向ける。
轟くんの耳まで赤くなっていたのが分かった。
「轟くん、あのね…」
ちゃんと伝えようと思った。
轟くんとキスしていて、
轟くんの熱を求めたいたこと
求めた理由を言わないと、轟くんと離れそうな気がきた。
そう思うと轟くんの手を握る。
「轟くん…あの…」
いざ言おうとしたら恥ずかしくなって、ただ轟くんの手を握っていた。