第1章 Doll house‐人形の館‐1
ここは深い森に囲まれた小さな村
この村を納める領主は代々王家に《あるモノ》を献上する事で、幾度となく続く戦火や飢饉などあらゆる厄災から村を護ってきた。
王家が後ろ楯となり村は豊かに繁栄していった。
村の大半が男ばかり、女は子を産むための道具にすぎない。
より美しい《宝》を産むために‥
この村の名は《Doll House》
それはまるで人形の様に美しく妖艶な姿をした女達‥
否‥男達の村‥魔女が住まう場所である。
今日もまた王家選別の見目麗しき乙女達がこの村に運ばれてくる…
「今日はこれだけか?この中に領主様の気に入る娘がいればよいがな…」
仮面を着けた燕尾服の男は頭を抱えていた
この村では女を抱くものは少ない
子を孕ますことを生業とする者は、仮面を着けるのが村の仕来たりである。
領主も例外ではない。
「なんとしてもご主人様にその気になって頂かないと…この村の存続に関わる…女達をここへ!お前達すぐに支度をせよ!領主様に謁見してもらわなければならぬ」