ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「おはようアッシュ、よく眠れたかね?」
「おはよう、うん…とてもよく眠れたよ」
「そうか、それは良かった。昨夜は挨拶が出来なかったからね、早くお前の顔を見たかったのだ。さあ、こちらにおいで」
僕の腰に腕を回しながらソファに誘導された。
「…昨日は、夜もお仕事だったの?」
「ああ、そうだよ。とある計画を練っていた」
「計画?」
「そろそろ、準備を始めてもいい頃だと思ってね。お前も楽しみにしているといい」
「え…僕も?」
「あぁ……」
「…んッ」
顔が近付いてきたと思ったらいきなりキスをされた。思わず体が硬直する。
「ッフ…先に種明かしをしてしまっては面白くないな」
「た、ねあかし?」
「今は私とのキスに集中しなさい」
「…っふ…ん」
口の中でしつこいくらいに舌を追われ、ちゅくちゅく…という水音が響く。キスの合間に目を開けろと言われてギュッときつく閉じていた目を開けると、ディノの熱い視線が刺さる。
「…美しいな、お前は本当に美しい」
うっとりしたような目を向けるディノ。
「最高級シルクのような髪、宝石のような瞳…長く輝くまつ毛…」
そう口にしながらスルスルと指を這わせる。
「スっと通った鼻筋、そばかすひとつない透き通るような白い肌…甘い果実のように艷めく柔らかい唇…」
「…っ」
「愛と美の女神、アフロディテでさえお前の美しさに嫉妬するだろう」
僕の顔や髪を舐めるように見つめて、肌が粟立つような言葉を並べる。
「お前がいかにこのカラダを多くの輩に晒そうと…全て余さず私のものだ」
再び唇を重ねながら腕を引かれ、半ば強引にベッドへ沈められる。僕の肩を押しながら顔中にキスを落とし首筋をするりとその指がくすぐる。
「…っん」
「客から聞くお前の様子はすっかり男娼そのものだが、何度触れても私には素直な可愛い反応をしてくれる…嬉しいものだな」
本当は吐きそうなくらいに気持ち悪い、僕はディノの機嫌を損ねないように毎回必死だった。ディノを喜ばせる言葉はいくらでも頭に浮かんでくるのに、それをあえて口に出さないのはせめてもの抵抗だ。
いつの間にかボタンを外され、シャツを開かれる。ツーっと指で胸の先に触れられた瞬間、僕の体はピクッと震えてしまった。
「…っん!」
それを見たディノの表情が変わった。