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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


部屋を出ると、私より先にシャワーを浴びていたアスランはソファに座ってこの前クリスからもらった本を読んでいた。

きっとアスランはモールス信号のページに夢中なんだ。
そのページには、アルファベットが書いてあってその横に「ー」と「・」でこの文字のモールスはこれというように解説されている。
アスランがクリスの部屋に遊びに行っている間に、実は私も読ませてもらっていた。


『…アスラン、それ全部おぼえた?』

「う〜ん、まだ半分くらいかな?」

そっか…アスランはまだ覚えきれてない。それなら、今しかない…。


パチッ

私は部屋の電気を暗くした。

「…わっ!?ユウコ?」


突然真っ暗になる部屋に戸惑うアスラン。
私はベッドサイドランプの傍に寄る。

アスランのことが好きという気持ちを…
ここで伝えて忘れよう
そうすればきっと私もただのお友達に…


『アスラン……みてて?』

「ユウコ?」


私はランプの紐を引きカチッと法則に則って何度も電気の点灯、消灯を繰り返した。


『・・ ・-・・ --- ・・・- ・ -・-- --- ・・-』


「……えっ…と、まって…もう1回」


『もういっかい、だけだよ?』

「うん!」

『・・ ・-・・ --- ・・・- ・ -・-- --- ・・-』

カチカチと紐を引く音と、優しいランプのあかりがついては消えてを繰り返して私の想いを紡いだ。


アスランはブツブツ言いながら解読しようとしてくれている。
伝わってほしい…でも伝わらないでほしい。
言い表せないドキドキと苦しさに押しつぶされそうになる。

「I…… L……O……うわぁ〜だめだぁ!もうわからなくなっちゃったよ…ユウコいつの間にモールス信号覚えたの?全部覚えちゃうなんてすごいね!僕も早くおぼえなくちゃ!」


アスランを好きという気持ちは捨てる…
友達だ…アスランは友達。

目の前のずっと大好きだった人は、
幼なじみの…ただの、友達。

…今、この瞬間から


『……ひ…っ、…ぅ…ぐ』

「え、ユウコ!?…ご…ごめん、僕が答えられなくて…!」

アスランは驚いたように私の元に駆け寄って頬に流れた涙に触れた。


ほら優しい、
優しいんだ、アスランは…


私は、アスランのこの優しいところも
全部、全部大好きだった
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