ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
『…え?』
「これ…」
アスランが私の首輪に触れた。
ピリッと痛みが走る。
『いっ…!』
「あ…ごめん!痛い?…皮膚が切れて赤くなってる」
そういえばさっきから首輪が皮膚と擦れる度に痛みがあった。私はそうなっているひとつの心当たりにすぐに行き着いた。
「もしかして僕が気付かなかっただけで、ここずっと擦れてこうなってたの?」
違う。
それは…首輪を何度も強く引っ張られて…
「…ユウコ?」
優しいアスランの声に全てを話してしまいたくなる。怖かった、痛かった、苦しかった…と。
『あ…のね、アスラン…』
「…うん?」
ーーー今日この部屋であったこと、誰にも言うなよ?
ーー…もちろん、“俺の”アッシュにも
『…っ!!』
「ユウコ?どうしたの?」
『ち、ちがう…っ!なんでもない…かゆくて、いっぱいかいちゃっただけ…!』
「ほんと?…首、1周も?」
『うん』
「……そっか、もう痒くないの?」
『ん、…だいじょぶ』
アスランは少し間を置いて、私の目を見つめながら傷に触れた。
『…っいた』
「…早く治さなきゃずっと痛くなっちゃうよね」
アスランは私の頬を手のひらで包む。そしてその手のひらがゆっくりと首までおりてくる。首輪に触れるとやはりピリッとした痛みに襲われる。
『い…っあ』
「…痛いよね、痛いけど…我慢だよユウコ?」
アスランの顔が私の首に近づき、ふぅっと息がかかる。首輪を片側に寄せて隙間を開けるとそこにゆっくりと舌を這わせた。
『ひっ…ぃ』
「ユウコ、らまん…ひて…」
アスランの温かい舌は私の首の傷を優しく癒してくれているような気がした。だけど…我慢して、と言われても傷の痛みに加えて舌の感触に体が勝手に震えてしまう。
変な感じ、がするよ…アスラン。
ゾクゾクする……っ…
……あれ?
アスラン…私、体が
またヘンになってきちゃった…
『…っ…アス…ラン』
「…んっ、ユウコ?」
『なんか、また…からだ…』
「え?…どうしたの?」
『っはあ…アスラン…』
段々と呼吸が浅くなって不安からアスランの首に腕を回す。顔を首元に埋めて深呼吸すると大好きなアスランの香りに肺を満たされる。