ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
楽しかった、と笑うユウコに釣られて僕も笑うとユウコは俯いてしまった。
クリスの部屋から帰ってきたユウコにはなにかものすごい違和感があった。でもその違和感の正体はついにわからなかった。
「…あ、ユウコ、ボタンが」
『っ!…あ…うん』
背を向けてそそくさとシャツのボタンを直したユウコは歩き出してソファに座った。僕も隣に並ぶように座る。
「ねえユウコ?クリスとはどんな話を…」
『ア、アスラン!…パパから電話があったの?今日はどこにお出かけするんだって?』
「…え?あっ…ああ…その話なんだけど…実は……今日どこにも出掛けないんだ…」
『……えっ?』
「嘘、ついたんだ…僕」
『うそ…?』
「うん…キミがクリスと話が盛り上がってるって言ってからしばらく帰ってこなかったから、その…なんていうか…ごめん」
ユウコが驚きに目を丸くして僕を見つめている。
「早く…会いたくて」
『……』
「ご、ごめんね!…僕、自分勝手だよね…2人が仲良くなれたって聞いて嬉しかったのに、なんか…」
その言葉の先を僕は言えなかった。自分でその意味が分からなかったから。
なんか…複雑な気持ちだった。
僕がいない場所で、ユウコがクリスと2人きりでいるというのが少し…嫌だった。
2人が仲良くなれたらな…って望んでいたのは本当なのに。
「本当に、ごめ」
『ありがとう…っ!』
「……えっ?」
なんで、ありがとう?
『…え…あ…っ…私もアスランに早く会いたかったから…』
そう言いながら僕のシャツの裾をキュッと掴むユウコに思わず笑みが零れる。
「あ、いや…でも嘘なんて良くなかったよね…もうちょっと待ってればよかった。よく分からないんだけど、気が付いたら電話しちゃってたんだ…僕、恥ずかしいや」
『…ううん、アスランありがとう…』
ユウコは僕の腕に額をグリグリと擦り付けてきた。そして裾を掴んでいたユウコの手が僕のお腹に回る。
「ユウコ…?」
『……』
何も言わず僕に抱きついたままのユウコ。
僕は不思議に思いつつその頭を撫でていた
その時
「……どうしたの、それ」
僕はあるものに気がついた。