ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
「っは…ぁ……はぁ」
『……う』
荒い呼吸で天井を見上げたままのクリスに、私は彼のシャツをクイッと引いた。
「……なに?」
『…っ…あ…』
いつものように口を開けて出された液体を見せる。
「うわ……やば」
『…っん、く』
ゴクンッと喉が重く鳴った。
「…え、」
『…っ…ごちそうさま、でした…』
再び口を開けると、クリスは信じられないものを見たかのように目を見開いた。
「…え…なに、してんの?」
『…?』
「っあ……Mr.ディックが言ってたのはこれ?…無理やりじゃなくて自主的に飲み込むなんて…っはは!これはオヤジ達は喜ぶかもね!俺は絶対にしたくないけど」
突然リードを引かれ目線を強制的に合わせさせられる。
『…ッう!』
「で?どう?
…俺の精子、美味しかった?」
『……』
私が何も答えられずにいると、クリスはそっかそれは良かったと馬鹿にしたように笑った。
「…そういえばアッシュも俺の飲んだことあったっけ」
『え?』
「お前が教えたの?いや、違うか…一緒に教わったとか?」
『う…ううん』
「ふーん…それにしてもさっきの表情すごかったね、咥えてるのが幸せ、みたいな随分トロけたえっろい目してたじゃん…俺の事“アスラン”とか呼んでたし…」
アスランにするようにと言われてその瞬間はものすごく戸惑っていたはずなのに、行為に夢中になってしまっていたことに罪悪感と後ろめたい気持ちがした。
「それにさ」
まだ何かを話そうとしているクリスの言葉を遮るように、部屋に電話のコールが響き渡った。クリスは面倒くさそうに立ち上がりガチャと電話に出た。
「…はーい?…あ、…うん!あぁ…そうなんだ!わかった大丈夫、今出るとこだったから。うん、またね〜!」
誰だろ?
「お前のご主人様からだったよ、これからお出かけだからそろそろ帰ってこいってさ」
え…お出かけ?
急に決まったのかな
「…ホッとした顔しちゃってさ、ムカつくよね」
私はボソッと何かを口にしたクリスから逃げるようにドアへ駆け寄る。
…が、もう少しでドアというところで首が締まった。