ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
「お前、何言ってんの?大丈夫?」
『…だって、ちが』
「どう見たってペットだろ。今日だってアッシュは1度も否定しなかった」
『…ち、がう』
「ううん違わない、ユウコ…お前はペットだよ」
『ちがうっ!私はアスランのペットなんかじゃないっ!』
「黙れ」
クリスはリードを後ろに引っ張った。
『…ぅ、ぐっ…!!』
「無駄吠えはよくないね…代わりに躾けてあげなきゃ」
『…ぅ…………っ』
首が締まり声を発せずにいるとパッと引っ張る力が緩んで「いい子」と頭を撫でられた。
『っはあ…はっ、あ…』
「…あのねユウコ、ペット以外に首輪やリードなんか普通はつけないんだよ、わかる?これこそがお前がペットだっていう証なの。どんなに賢くてもそんなことすらわからないおバカさんは飼い主様に捨てられちゃうね」
『……っ』
私の体は、捨てられるという言葉に強く反応を示した。
「さっき話してたの聞いてたろ?アッシュがお前を飼うのは、別にお前のことが好きなわけじゃないって。…アッシュが何を考えてお前なんかを飼ってるのかは知らないけど、お前はアッシュの中で“ただのペット”なんだよ……ていうか、そうじゃないと俺が困る」
『…え?』
「俺さ、アッシュのペットが人間のメスだって気付いてからずっとモヤモヤしてたんだ。アッシュって抱かれるの痛いだけで気持ち良くないとか言ってたし、体の相性が良いメスを飼ってるのかと思って。アッシュはそういうタイプには見えなかったけど、セックスになると人が変わるヤツなんか腐るほど見てきたからありえないことじゃないなってね。…だから早くお前に会いたかった。会って確かめたかった。お前がどんなメスなのか、アッシュがお前をどんな目で見るのか」
『……』
「すごく優しい目でお前を見てたから、あ…って思ったけど…俺の考えすぎだったね。アッシュがお前をなんとも思ってなくて本当に良かったよ…お前も、助かって良かったね?」
『……たすかる?』
「うん、もしアッシュがお前を好きだって言ったら…俺お前のこと、殺してた」
『ぇ…っ』
「だって、アッシュは俺のだから」
クリスの目は本気だった。