ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
「…守りたい?…何から?」
「ごめん、あまり話したくないんだ…」
「…俺にも?」
「うん…、ごめんね。でも本当にそれだけ…その他の意味は何もない」
「…ってことは…好きだから、とかじゃないわけ?」
「えっ…?」
「だから、ユウコのことが好きだから飼ってるわけじゃないってこと?」
「…っ……うん、ちがう…」
「…へえ、そっか……ならいいや!」
クリスは私を見て、意味ありげにニッコリと笑った。
「うん…、あっ…ユウコこれ飲む?」
『え…?でも、飲んだらパパに怒られちゃう…』
「今日は僕と一緒なんだからお水飲むの我慢しなくていいんだよ、はい」
アスランが私の前にソーサーを滑らせる。
『あ、ありがとう…』
私はカップを手にとった。その紅茶はとても美味しかったけれど、目の前のクリスの視線が気になって仕方なかった。
「…っ…そうだ、アッシュ!この前一緒に見た映画の中で、光の点滅でSOSを伝えてたシーン覚えてるよね?」
「うん、もちろん。灯台と船のだよね、あれすごかったなあ!」
「あれ、モールス信号っていうんだって」
「モールス信号?」
「そう。光らせる長さや点滅の回数で文字を表すらしいよ!アッシュがとても興味を持ってたから、調べてみたらこの本に載ってたんだ。ここを見て?」
「…本当だ!わぁ…光で会話出来ちゃうなんてやっぱりすごいや!」
「その本、アッシュにあげるよ」
「えっ?…そんな、悪いよ」
「ううん、俺はもう読み終わったし!あげる」
「…本当にいいの?」
「うん!」
「えぇ…嬉しいな!ありがとう、大切に読むよ!」
ページをペラペラと捲るアスランは、とてもキラキラと輝いた目をしていた。その映画の話をしてくれた時も、ベッドサイドランプをカチカチさせて興奮気味に説明してくれた。
そのあともしばらく2人が色んなことを話しているのを聞いていた。アスランはとっても楽しそうで、クリスと本当に仲良しなんだなと思った。
…2人は本物のお友達なんだ。
こういうのを友達って言うなら、私たちは…やっぱり…。