ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
あれから10日が経った。
あの檻の中での生活とは違って常に見張られることはなくなったけど、アスランがどこかに行って数時間帰ってこない日があるのは変わらなかった。
アスランが私を残して部屋を出る時、パパの命令でベッドの枠にリードを括られるようになった。行ってくるね、とギュッと抱き締められ、部屋を出ていくアスランの背中をベッドの上から見送っていると、寂しくて悲しくてお留守番するペットの気持ちがよく分かった気がした。
そんな私も3回パパに連れられて、この前とは違う別の偉い人たちに会った。私の首輪とリードを見てひどく興奮したように鼻息を荒らげるその人たちは、みんなリードを強く引いて私にキスをした。私とアスランを繋ぐ絆のはずなのに…そう思うと涙が溢れそうになったけど、アスランのために耐えなきゃと乗り越えた。
私の体のことは、私の誕生日の次の日にアスランから聞いた。変な薬だとか副作用だとか…あまりの恐怖に泣き出してしまった私にアスランは「ユウコは僕が絶対に守るから」と何度も言ってくれた。あれからも1日に1~2回程起こるこの副作用はいつまで続くんだろう…私は不安で仕方なかった。
今日は8月15日
そういえば、15日は…と何回もパパやジョセフがアスランと話しているのを聞いた。何があるんだろう。
『アスラン』
「…………」
『…アスラン?』
「…っ!…あ、ごめんどうしたの?」
『今日って、何かあるの?』
「…前に僕がここで商品になるって話したの覚えてる?」
『うん…』
「それが毎月15日、つまり今日なんだ」
『えっ』
すると突然部屋のベルが鳴って、私たちが開ける前にピッピッと誰かが外からロックを解除した。
「…おぉ、もう起きていたのか。偉いではないか」
『あ…パパ、おはよう!』
「おはよう、ユウコ」
「…パパ、おはよう」
「ああ、おはよう。アッシュ、お前に嬉しい報告があってきたんだよ。お前の枠が全て完売した」
『枠が完売?』
「アッシュとの時間を買いたいという客が殺到したのさ。デビュー日ではあるが5人の相手をしてもらうよ、3人の客はクリスと2人での接客になる。あの子から色々学ぶといい」
隣のアスランは俯いたままコクンと頷いた。