ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「これ、なに?」
「話しただろう、ユウコへのプレゼントを用意してやったと。それは首輪だよ」
「…首輪?」
「あぁ、どうだね?お前の望みの品のはずだ。最高級の革に防水加工を施し、カラーリングはお前たちの瞳の色に合わせてある」
「僕の望みって…なんで?」
「おや?お前はユウコにネックレスをプレゼントするつもりだったのだろう?」
「…っ!?ど、どうしてパパが…」
「Mr.ガーベイからお前が持っていたと聞いてね。だが…あれは処分させてもらったよ」
「…え?」
あのネックレスを…?ユウコを想い働いて買ったあのネックレスを処分したって、今ディノはそう言った?
「私のペットがあの程度のものを身に付けるなど、あまりに恥ずかしいのでね…だが、品が変わろうが意味合いは変わらんよ。お前があの子を束縛したい、という意味ではね」
「なんで…束縛なんて、僕考えてないよ…」
「いいか?アッシュ。想い人にネックレスをプレゼントするという行為は独占欲の表れなのだ。お前は無意識下であの子を束縛したいと思っていたということだよ、彼女に首輪をつけ縛り付けておきたい、とね」
「……そんな、」
「それに今となっては、飼い主であるお前がペットであるあの子に首輪をつけるなど至極当たり前のことではないか」
「僕がユウコに首輪なんて、できな」
「出来ない、ではなくやるんだ。既にお前には拒否権などない」
僕は手の中にある首輪を見つめた。
「それは1度嵌めたらロックが掛かるようになっていて、自分はもちろんお前にも外すことは許されない、鍵は私が保管する。ちなみにその首輪は耐久性にとても優れていて簡単には切れないだろうね。…私の言っている意味がわかるかい?」
「……」
「万が一にでもお前たちが私の元から逃げ出すようなことがあれば…数年でユウコの首は締まり死に至る。ある意味麻薬にも勝るカードかもしれないな」
ディノは僕を…僕たちを、一体何重に縛り付けるつもりなんだろう。どうしてそこまで、なんのために…僕が今どんなに絶望に目の前が真っ白になっても首を横に振ることは許されない、それだけが明確な真実だった。