ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
『…ねえパパ?これがあれば私とアスラン…一緒にいられるの?』
「あぁ、先程言ったであろう?それは、お前とアッシュを繋ぐ“絆”だと。」
力ない僕の手から、するりとリードが落ちる。
『っ!ちゃんと持ってて!…アスラン、絆…だよ?』
絆…、絆?
ユウコは本気で言っているの?僕たちが今まで築いてきた絆が、これだって?こんなものがないと僕たちは一緒にいられないって、きみは本気でそう思っているの?
再び手首に通されたそれをギュウッと握りしめると、心も手の中も軋む音がした。
「…これも記念だ。今日という日を形に残そう」
ディノがそう言って立ち上がると、カメラとそれを支える三脚を持った男が部屋に入ってきた。
それを見た途端体が動かなくなった。頭にはあの地獄の日々が思い起こされ、周りにいる全員の動きが気になる。するとグイッと右手が勝手に動いた。
「わっ…ユウコっ!?」
『……っう゛ぐ!!!』
突然走り出したユウコは首が締まって、うずくまり激しく咳き込んでいる。
「ごめっ…!ユウコ、大丈夫!?」
「…おやおや、急に走り出したら危ないではないか。でも思いがけずこの首輪の効果が知れた」
『う゛…ぅ、アスラン…っ、やだ…こわい…!』
僕に縋るように泣き始めるユウコをあたりを見回しながら抱き締めた。誰かが近付いてくる気配はなく、マシューに至ってはアワアワと心配したように見つめている。
「ユウコ、いつまでそうているつもりだ…?顔を上げなさい」
『…っう…、ぅ』
「写真を撮ると言っているのだよ、涙を拭いて笑顔を見せるんだ」
ユウコはディノの強い声に肩をビクつかせて、涙を拭って顔を上げた。その顔には無理矢理な笑顔が浮かんでいた。
「…そこに並びなさい、…そうだ」
「ま、まってくださいパパ・ディノ!せっかくの写真ですから、少し整えさせてください!」
耐えきれないといった表情でマシューが駆け寄ってきた。
「ああ、そうだね。頼む」