ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
大きな屋敷を出ると、外には広い庭があった。
『…わあ』
「気に入ったかい?またの機会に案内してあげよう、アッシュと一緒の時にね」
『っ!…アスランに、また会えるの?』
「あぁ、もちろん。昨夜はユウコの体が心配だったから私の屋敷に連れてきたのだよ」
『良かった、ありがとうパパ!…でも』
「どうしたんだい?」
『アスランは私のこときっと怒ってる…』
「はは、心配いらないさ。アッシュもユウコに会いたがっていたよ」
『本当に?』
「あぁ、明日を楽しみにしていなさい」
『明日かぁ、うん!』
「パパ、車の準備ができました」
「ご苦労、おいでユウコ」
私たちは車に乗り込む。
「そういえばユウコとはあまり話をしていなかったね、アッシュとはいつから2人で?」
『8歳からだよ』
「そうか、生活は大変だったろう。食料や金はどうしていたんだね?盗んでいたのかい?」
『えっ?盗んだことなんて1度もないよ。私たち毎日靴磨きをしてたんだ!』
「靴磨き…いやまさか、それだけでは…だが盗んだにしてはラッピングまで施されていたようだった」
『パパ?』
「ああ、いや。そうだ…ユウコ、今日これから会うのは政治界の重鎮でね、とても偉い方なんだ。失礼のないように振る舞うのだよ?」
そう言われても困ってしまう。何が良くて何が駄目なのかわからない。
「そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ、いいかい?今から私が言う通りにするんだ」
私は頭の中でパパから言われたことを何度も繰り返していた。
「…ユウコはいい子だ。きっと可愛がってもらえるよ」
たどり着いた先は、大きなビルだった。地下の駐車場に車が停車するとパパに連れられ入口まで歩く。
「ゴルツィネ様、お待ちしておりました。ご案内致します、こちらです」
先導され着いていくと、その男の人が立派なドアのベルを鳴らした。私がソワソワしていると、パパが頭にぽすっと手を置いた。
「さぁ、できるね?」
『は、はい』
すると、重そうなドアがギッと開いて私たちは中に入るよう促された。