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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


『…ん、…ア…スラン…』

目が覚めると、つい癖でアスランの温もりを探してしまう。いない…今ここには私だけだ。
狭い檻の中には何も無く、床に丸まって眠っていた。誰かが投げ入れてくれたであろうタオルケットが体の上に乗っている。

昨日の夜のことを思い出す。
アスランにキスをしてしまったことは覚えているものの、やはり私自身の記憶は少しモヤがかる。

パパ、怒っていなかった。
なんでだろう…

パパが話していたことの意味が全然わからなくて、私は混乱していた。それより、アスラン…どうしてるだろう、私のこと怒ってるんだろうな…もう会えないのかな…。


その時、部屋のドアが開いた。
中に入ってきたのは昨日のスーツの男だった。

「…おはよう、調子はどうだ?」

『あ…だ、大丈夫…』

「どうした?」

『私が起きてすぐにきたから…すごいなって』

「……あぁ、見ていたからな」

『え?』

私はキョロキョロと見渡す。

「檻の、ここに…カメラがあるだろ?倉庫の檻にもついていたが、アッシュから聞いていなかったのか?」

『え、そうなの?知らなかった…アスランは知ってたの?』

「あぁ、パパが伝えたと言っていた。…なるほど、不安を煽らないように気遣ったわけか。さて、聞いていると思うが今日はパパとお出かけだ。政治界の大物と会うことになるから失礼のないように身支度を整えておけ、服をこれに」

これと指された服は白のワンピースで、裾がヒラヒラしてとても可愛らしいものだった。

「…髪はブラシがあればいいのか?」

『え?…あ、うん』

「そうか、ではこれを使え。…パパに仕えていながら、女の面倒を見る日がくるなんてな」

男はそう言い残して部屋を出ていった。
私は服を広げまじまじと見る。

『…かわいい』

こんなに綺麗な可愛い服を着るのは、いつかの誕生日パーティ以来だ。フォーマルなスーツに身を包んだアスランと並んで撮った写真は私のお気に入りで、机の上に置いてある。あの写真持ってくれば良かった…。

服を着替え、髪をブラシで整える。アスランが好きだって言ってくれた私の髪。あれから嫌いだったこの髪を少し好きになれた気がする。

しばらくすると、パパが部屋に入ってきた。

「…おぉ、可愛いよ。とてもよく似合っている。それでは行こうか」

檻を出て、私はパパが差し出した手を握った。
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