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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


ガシャン

私が押し込まれたのはいつもより少し小さめの檻の中だった。あのあと車で20分ほどの場所にある大きな家の一室に連れてこられた。その道中、いつ降りろと言われるのか怖くてずっと震えていた。

檻の外に立つスーツの男は私をただ黙って見つめている。私が柵に近づくと、眉がぴくっと動いた。

「…なんだ?」

『私、捨てられない…の?』

「何を言うかと思えば…なぜそんなことを言い出す?」

『パパとの約束、破っちゃったから…』

「…お前は、可哀想だな」

私から目を逸らすと男は携帯を手に部屋を出ていった。


『あ…ぁ………ア、…アスラン…』

部屋にひとりになった瞬間、私は孤独が怖くて堪らなくなった。助けを求めるようにアスランの名前を呼び続ける。でもこうなった原因は全部私。私のせい、私のせいなんだ…悲しくて苦しくて胸がぎゅうっと締め付けられた。




「…なさい…ユウコ、起きなさい」

『ん………っ』

パパの声がする…あれ…またいつの間にか眠ってしまった。目を擦り体を起こして辺りを見回すと、檻の前にパパがいた。

「…涙で顔がぐしゃぐしゃではないか…疲れて眠るほどにずっと泣いていたのかい?」

『…パ……ッケホ、』

泣きながら名前を呼んでいたせいか、声が枯れ咳が出る。

「おやおや…」

『…ぱ、ぱ……ごめ…っさ、い』

掠れ声で必死に謝る。


「…私の言いつけを守れず、寝ている彼に跨りキスをしてしまうなんて…。そんな躾のなっていないペットは安心して連れて歩けない、違うかね?」

『ご……め、なさ…いっご、め…なさ、』

「っ!……はぁ……まったく私は…。嘘でもお前を叱る気にはなれないようだ……こちらにおいで、ユウコ」

『……っ、ケホッ』

私が近づくと間から腕を伸ばし頭を撫でられる。…パパ、怒ってないの?

「体の調子はどうだ、まだおかしいかね?」

私が首を振ると、パパはふぅっと息をついた。

「そうか、それは良かった…。ただでさえ強い薬を、毎日量を増やし投与されていたのだ。突発的な催淫や中毒症状が出るのも無理はない…ただ、この状況は良いように利用させてもらったぞ…」

『……ぱぱ?』

「ユウコ、今回の件はもう咎めない。だがお前には躾けておきたいことがある。明日は私と一緒にきてもらおう。

…おやすみ、愛しているよ」
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