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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

ユウコが倉庫から出ていってしまった。強く押さえつけられて体を動かすことが出来ない。怒りに沸き立って頭がおかしくなりそうだった。

「おや、口の端が切れてしまっているではないか。致し方ないとはいえ手荒な真似は感心できないな。離してやりなさい」

「ユウコを…っはぁ…どこに…」

「さあ…あの淫乱猫はどこにやっても良い値が付きそうだ」

「ふ、ふざけるなっ!…ユウコはずっと、おまえに捨てられないように従順でいたのに…!」

「貴様、先程からはしたない言動が目立つぞ。言葉を慎みたまえ。…しかし、ユウコは本当に賢くていい子だ。私があの子を性的な目で見ることはないが、愛玩ペットとしては最高の逸材だよ。生まれ持っての従順さではなく、私の顔色を常に伺っている。時折見せる小さな反抗も可愛くてたまらないね。今まで従順になりたいと言い放ったその理由が分からなかったが、なるほど…私に捨てられたくない一心だったというわけか。延いては、自分を偽ってでも貴様と離れたくなかったのだろう?あの子は健気だな…アッシュ?」

「……っなら、どうしてここから…!」

「以前私が言ったことを覚えているかね?お前がよろしくない態度を取り私の機嫌を損ねるようなことがあれば、あの子に何をするかわからない…と」

「え?…じゃあ……ユウコは…僕のせいで…?」

「大切な存在は、お前自身の愚かな行いや言動のせいで消えてしまったわけだ。彼女は何も悪くない、私はあの子をとても気に入っていたからね」

「…嘘、そんな…ユウコ…ッ、僕……っ…」

「アッシュ、顔を上げなさい」

「…ぅ…っぐ……」

「悲しみと絶望に歪んでいる…お前にもこのような素直な表情が出来たのか。そのライトグリーンから溢れる涙はダイヤモンドよりも美しい…」

感情や涙がこいつを興奮させる材料になっていることが悔しい。どうしてこんなヤツのために僕たちは…また急激に怒りが込み上げてくる。

「…っ……」

「アッシュ、私が憎いか?……ふっ、そうだろうな、貴様は私が憎くて仕方ないはずだ。もっとその反抗的な目を私に見せてごらん」

ガシャン

柵を勢いよく掴み、ディノを睨みつける。歯がギリギリと音を立て、呼吸が荒くなる。
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