ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
ガラガラガラ…
シャッターが開く音が響いて、スーツの男2人とパパが入ってきた。
「…ユウコ、急にどうしちゃったんだよ!」
大声を上げたアスランの目は、ひどく動揺していた。
どうしちゃった?…そんなの私が知りたい。私どうしちゃったの、どうしたらいいの…
涙も体の熱も止まらなくて、私は苦しくて仕方なかった。
「…アッシュ、そのままユウコを押さえていなさい」
パパがそう言うと、スーツの男がガチャッと鍵を開けて中に入ってきた。
「な、なに?」
「ユウコの目を見てみなさい、発情しきったメス猫の目をしているだろう?欲望に負け、命令を無視する躾のなっていないそれを、今お前と一緒にしておくわけにはいかない」
2人が近づいてくると、アスランが私を守るように体に覆い被さった。
「まって!ユウコは僕に助けてって言ってたんだ、さっきだってずっと様子がおかしかったし…一緒に見たじゃないか!なにか、理由があるんだよ!」
「あぁいかなる理由があろうと理性を手放した今、その子は欲望の自制がきかんただの淫乱だ。…だが、ショーはまだ先なのだよ。今サカられても困る」
「今までこんなこと1度も…!」
「今日はこんなことになる可能性があったから、先程私はお前をここに入れたくないと言ったのだ。だが、無理に引き離さずとも良いと思い、この子にキスをするなと命令した。その私の命令に叛いたのはユウコだろう、見過ごすわけにはいかない」
「可能性があったって…?もしかしてユウコがこうなった理由がわかってるの…?」
「鋭いな…とにかく、なんにせよ今はまだその時ではない。ユウコはここから連れていく」
「なんだよ、それ…!っや、やめて!…ユウコに触るな!…離せよ!ッ…痛っ!……ユウコ!」
私は男に担がれ檻から出された。もう1人の男に殴られ押さえつけられたアスランの叫び声が耳に響く。
『…っあ…ア、スラン…』
どんどん檻から離れ、私は車の中に乗せられた。抵抗する力も残っていなくてされるがままだ。
…捨てられる。
想像していた中の最も最悪な事態に、私は震えが止まらなかった。私が命令を破ったから…全部私のせいだ。