ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
『……っん、』
次に目が覚めた時には、ベッドの上だった。
あれ?…私なんでベッドに?すると頭の後ろからすぅすぅとアスランの寝息が聞こえる。後ろから抱き締められるように眠っていたらしい。
倉庫の中はシンとしている。
もう夜なんだ…。
ふと私が頭を置いているアスランの右腕を見ると、紙で切ったような傷が出来ていた。少し血が出て固まったようだ。
時間が経っているように見えるけど、舐めていないのかな?私は少し体を動かして、傷に舌を這わせた。血を溶かすように舐めると、ピクッと腕が動いたものの起きた様子はなかった。
『…ッ!?』
クチュクチュ…と耳に入る無意識の水音に突然心臓が大きく動く。途端に、アスランの肌に触れる自分の舌や唇が、早く傷を治したいという目的を見失い始めた。
『…っどうして…また…』
ぞわっと全身が粟立ち、体に熱がこもり出す。なんで体がこんなことになってしまうのか全くわからなくて、どうしたらいいのかわからない。
とりあえず体を起こしてみると、深い眠りの中にいるらしいアスランの顔が目に入る。
『…っ!…ぁ…はぁ…』
寝息を立てるアスランの薄く開いた唇から目が離せない。…でもダメ、キスしちゃダメ…パパがそう言ったんだから…なのにキスしたい
アスランとキスがしたい…
『…ぅう……っ…くる、しい…よ、アスラン…ッ』
この衝動を必死に堪えようとするが、唇も舌も、心も…私の中の全部がアスランを欲しがってどうしようもない。…私はアスランの体を跨ぎ肘をついて顔を近付ける。アスランの顔に私の涙がぽたぽたと垂れた。
『パ、パ……ごめっ…なさ……っん』
私は眠るアスランに唇を重ねた。
「…ん、…っん?…っはぁ、ちょ…ユウコっ?」
『ア…ス…んぅ…ぁ、はっあ…』
「っふ…ぅ…ユウコまっ…て…!」
私の肩を押そうとするアスランの首の後ろに腕を回し、離れないようにギュッと固定する。
『ん…ぁ…たす、けて……アスラッ…た、すけ…っはあ』
あつくて苦しいその熱を分けるように舌を絡める。
助けて、…アスランたすけて。
「っ…ユウコ…ッ!」
アスランがグッと力を込めたかと思うと、体勢が逆転した。アスラン越しに天井が見える。
『っ!…ぁ、はあ…はあ、ア…スラッ…』
私の肩を押さえてアスランは強い力で体を引き離した。