第3章 過去
私は、生まれて間もなく母親とグリシャさんに助けられてここまで来た。ウォールシーナまで往診できていたグリシャさんが、赤ん坊を出産したばかりの母と出会い私を預かったのだという。
母親は、貴族のような身なりをしていて、何者かに追われていたのだという。そして、気を失う前に、近くにいたグリシャさんに私を託したのだという。
はじめてこの話を聞いたときは、分からないことが多く、母親が自分を煩わしいから捨てたのではないかと思った。
しかし、いづれ私はそれが間違いだったことに気づかされる。
あれは、月明かりが眩しい夜のことだった。
ドンドンドン!!!
けたたましくドアを叩く音で目を覚ました。
まだ6歳のエレンとミカサを後ろに隠しながら音の先へと進むと、グリシャさんとカルラさんの抗議のような声が聞こえた。
「何があっても、あの子は渡しません。私たちの正真正銘の娘です...!!」
「何かの勘違いじゃないか?ここにいるのは私の家族だけだ...!!」
「ミカエル..!?来ちゃダメ!!!」
「母さん!!!!」
2人は家を襲った男たちに殴られ気絶させられてしまった。
??「あぁ、あの子だ、間違いない。」
「ミカエル...逃げて...」