第9章 赤い再会
エルヴィンside
その日は、珍しくあの場所が足が向いた。
彼女が...ミカエルが現れなくなってから、必然と行かなくなっていた場所...。今日、また向かいたいと思ったのは先程壁の上から見えた、地平線から赤々と顔を出した夕日のせいだろうか...。
図書館に入ると、ちょうど夕焼けがステンドグラスから差し込んで、図書館全体が真っ赤に染まるところだった。まるで、当たり前のように、足が3階へ向かった。
真っ赤な光の中で、金色の影が動いた。
エルヴィン「誰かいるのか?ここで何をしている?」
光が眩しくて見間違えたのかと思った。
だが、確かにそこにいたのはあの日と変わらず、大きな医学書を抱え、真っ直ぐな瞳をしたミカエルだった...。
エルヴィン「ミカエルなの..か...?」
「エルヴィン..さん?」
俺はとっさに彼女の元へ駆け寄り、抱きしめていた。
夕焼けが光を失うまで、彼女は黙ったまま私の抱擁を受け入れてくれていた。
明かりをつけて、もう一度彼女の存在を確認すると、そこにはまだ幼さが残るがとても美しい女性がいた。ミカエルは自分に気づいたことをとても驚いていたが、あの夕焼けがなければ、私も分からなかっただろう...。
ミカエルは過去のことを含めて、今までのミカエル・プレミンジャーとしての人生、そしてリン・キーンとしての人生を話してくれた。彼女は縁があってか、私が医務官の教育を頼んだキーンさんのもとで医学を学んだと言っていた。そして、リン・キーンという名前で医務官をしていて、もっと高度な技術を学ぶため図書館に忍び込んだと。俺が調査兵団で団長をしていることも知っていた。
彼女は困難の中、多くの選択をし、勇気を振り絞ってここまで来た。そんな彼女の勇気を無下にするようなことがあってはならない...!
エルヴィン「ミカエル...。もう少しだけ待っていてくれ、必ずキーンさんとの約束は守る。」