第9章 赤い再会
ミカエルside
兵団に入隊して、1年が経った。
私は、17歳となり、医務官としての生活も板につき始めていた。
相変わらず、医務官は憲兵団、調査兵団、駐屯兵団のどの管轄に分けられることもなく、孤立し、派遣業務を行っていた。
父さんが言っていた調査兵団専属の医療部隊についても、未だ耳にすることもなかった。
「父さんは、医務官をしていればきっと出会えると言っていたが、先生に提案を持ちかけたあの男が現れる気配もなかった。」
エルヴィン・スミス...。
幼き記憶の中で、私に色々な世界の話をしてくれた人物を思い出す。彼の名前もエルヴィンだった。父さんに話を聞いたときは驚いたが、私は彼こそが調査兵団の団長エルヴィン・スミスだったのだと確信していた。
??「リン...。リン...。いつまでぼーっとしてるつもりだ?」
「ルーカス...。うん、月を見ながら少し考え事をしていてね...。」
彼は、ルーカス・ワグナー。私と同期の医務官である。
ウォールシーナに来てしばらくは、ミカエルも憲兵たちや貴族たちを警戒していたが、同期のルーカスたちと関わることでその不安もほぐれていった。
ルーカス「バカ。なんだってこんな寒空の下で...。」
そういって、彼は自分の上着を私にかけてくれた。
彼の人をまっすぐ見つめるところや、不器用なところがどこかリヴァイ さんに似ていて、いつも私は甘えてしまっている。