第8章 そして、選択する
ミカエルside
キーン先生に言われて、家に入った。いつもは優しい先生の顔がやけに真剣で、私は静かに椅子に座った。
キーン先生「リン、おまえは今年でいくつになった?」
「16歳になりました、先生」
キーン先生「16歳か...お前は、ここに来てすぐの頃はまだ幼い顔をしていたが、いつのまにこんなに綺麗になったんだ?」
ミカエルは、確かに幼い少女だったあの日から、美しい女性へと成長していた。月の光のような金の短い髪を揺らして、キーンの補助をする姿は、いささか妖精のようだと移民たちの中でも評判になっていた。
キーン先生「あの頃のか弱い少女はもうどこにもいないんだな...。今のお前なら憲兵に見つかる心配もないだろう。お前は、ここへ来て私の元で実によく医学を学んでくれた。初めて会った日のことを覚えているか?」
「はい。先生が私のもとを訪ねて来てくださいました。」
キーン先生「あぁ、あの時、私がなぜウォールシーナへいて、お前のもとを訪れたのか、話そう。」
キーン先生はそうしてあの日出会った頃の話を始めた。