第5章 地下街の月明かり
ミカエルside
そうだ...
あの後、私は偶然プレミンジャー邸で母親がかつて使っていた部屋を見つけたんだ。
偶然見つけた部屋は、壁紙が剥がれ、ベッドもイスも壊れたまま置いてあった。机の引き出しを開けると一通の手紙が入れてあった。
(ミカエルへ
この手紙を読んでいるということは、もうきっと辛い目にあってるということなのよね。本当にごめんなさい。
あなたを出産したあの日、あなたをせめてこの家から解放したくて男の人に頼んだの。あの人は、初めて会った私をも助けようとしてくれた。私やあなたが自由に生きられないのは、この血のせいなの。私の生家は初代レイス王の妃だった家柄なの。でも、そのあと一族が何者かに狙われて、没落してしまった。貴族たちは、私たち一族を高級品だか趣向品のような目でみているわ。母さんも、逃げようとしたけど結局ダメだった。でも、あなたには...。あなたには自由に広い空の下で生きて欲しいの。だから諦めないで。愛しているわ。)
涙が止まらなかった。母さんは私をすごく愛してくれていた...。
手紙の中には、レイスと刻まれたカメオのブローチが入っていた。
そうして、物語は冒頭へ戻る。
それから私は見張り役の目を盗んで、逃げた。
しかし、地下街に入ったところで捕まってしまった。