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星条旗のショアライン

第1章 スティーブ・ロジャース(MCU/EG)



(……)
考えたくはなかったけれど現実逃避もしていられない。果たしてキャップは本当に俺に好意を抱いているらしい。ロケットに忍ばせていた俺の明らかな盗撮写真と、恋人発言が確たる証拠だろう。それはきっと過去のキャップも当てはまる。一体いつから……なんて考える間もなく、氷漬けの前から彼はロケットを愛用していたし見つめていたことを思い出してガックリと項垂れた。

(4)

道中でヴィブラニウムの盾を無事に回収しつつ、スタークタワーを脱出する。チタウリに破壊し尽くされた街並みを見渡しながらこの世界へのランディングポイントへ戻ると、何故か廃車に収まったトニーとスコットがひりついた雰囲気を漂わせていた。外付け階段から飛び降りて駆け寄る。
「どうしたんだ、二人とも。途中から通信が出来なくなっていたけど……首尾は?」
「悪いな、失敗したよ。ボディガードくん」
「そ、そうか」
トニーのヒステリックな声と皮肉めいた呼び方が耳に刺さる。彼の落ち着きが失われているくらいだから手酷くやられたのだろう。スコットすら苛立たしげにトニーへ嫌味を繰り返し言い放っていて、慰める事も出来ない。隣のキャップを見上げると彼も俺を見下ろしていて、互いに先行きの不安から表情を影らせた。
ハルクはまだこの場にいないようだ。彼まで失敗していたらどうしようかと悩む。もういちど過去へと戻って四次元キューブを回収しに戻る為のピム粒子は存在しない。任務失敗の四文字がチラついて絶望が脳味噌を真っ赤に塗り潰していく。――……トニーがハッとした顔で声を上げるまでは。

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