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星条旗のショアライン

第7章 スティーブ&ソー(MCU/潜入任務)



壁に盗聴用の大きな集音器を取り付けて一息つくと、後ろで電波の感度と集音具合を調整していたキャプテンがヘッドセットを外しながら長い溜め息をついた。がらんどうとした部屋の中にあって小さな組み立て式のキャンプテーブルの上のコーヒーは、とっくに湯気を消している。お互いに慣れない任務に就いて、気が張っているのは確かだった。
「どうしてフューリーは俺達に現代の機械を弄らせるんだ」
「スタークやバナー博士が最適な任務の筈だ……そう言いたい?」
「その通り」
「右に同じだ。現場の方が性に合ってる」
同調したあと眉間に寄ったシワを指先で揉みほぐしながら重そうに立ち上がったキャプテンは、大仰に歩みを進めてレストルームに消えた。用を足しに行ったのではなく、必要な電気系統が集中しているヒューズボックスがレストルームに置かれているせいで先程から何度も何度も席を立っているのだった。場末の安アパートたる所以を垣間見た気がする。疲れた背中を見送りながら、俺もまた疲労を感じつつ二つ目の集音器を取り付け始めた。

(2)

俺達は今、政府のブラックリストに登録されている武器商人がニューヨークで闇取引をするという情報の元で調査と確保の任務に就いている。ただの武器商人相手ならスーパーソルジャーが駆り出されたりはしなかっただろう。どうやらソイツには常人には手が負えない『護衛』が着いていて、尚且つ取引の品物が国家の安全を脅かす危険性の高い物であるが故にこの様な人選となったらしいのだ。なんと後々にはソーも合流するとか。彼が関わるとなればチタウリのような地球外生命体が一枚噛んでいる任務かもしれないと想像しまって疲労は倍増だ。

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