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星条旗のショアライン

第24章 SSS キャラ×男主(―/30日更新)



★S2057メイス

船内を走り回った先でメイスの死体を見た瞬間、あまりの恐怖から目が離せなかった。怖いもの見たさだったのだろうか。それとも愛する男が死んでいたからだろうか。
「あ、あぁ……っ」
イカロスの母体が露出しているところから察するに、メイスは凍えるほど冷たい水の中に潜って力だけで母体を沈めていたようだ。上半身を床に投げ出して、下半身は冷却水の中。四つん這いで近付いてそっと水面の奥を覗き込むと、真っ赤に染まった水の向こうでメイスの足がイカロスの機械系統にがっちりと挟まっている。身動きが取れない内に下半身から一気に凍えていったのだ。
「メイス……メイス……ねぇ、起きて」
動かない彼の身体を揺する。触れる肌は人間のそれではない。彼そのものが氷のようだ。所狭しと氷柱に覆われ、ガチガチに固まっている。床に転がる通信機に目線を投げているメイスの瞳は眼球ごと凍てついているせいで目を閉じてやることも出来ない。しかし死んだ瞬間のまま、メイスは綺麗に保存されていた。
「……っまだ、君からちゃんと、あ、愛し、てるって言ってもらってないよ……」
ねぇ、起きて。メイス。俺からの最初で最後のキスを冷たくあしらわないで。

★Sライアン

真夏のビーチに来るといつもあの事件を思い出す。俺がサマーキャンプから帰ってくる予定の日に母と父と弟は汚職警官に拉致・誘拐されていた。空港でニュースを見て慌ててビーチに向かうと、血だらけの両親と怯える弟が警察に保護されているところで、全てが解決した後だった。
「レイン」
「ライアン……また来てくれたの」
「もう君のお母さんから電話は貰いたくないんだけどね、レインがまたビーチに居ると思うから迎えに行って欲しいって」
「無視すればいいのに」
「息子その二まで誘拐されてたらまた俺が走り回らなきゃならないだろ。未然に防がないとな」
「笑えない」
「笑えって。わざわざ恋人が迎えに来てやったろ? へそ曲げてないで帰るぞ」
「……へそ曲げてるわけじゃないよ」
「……帰ろう。家族が待ってる」
「……うん」

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