第4章 おやすみのお時間です
「僕が欲しくてたまらないあの表情、すごく興奮しました」
「…………っ!」
知らない。
知らない知らない知らない。
「ハイセ、退いて」
「お顔真っ赤にして、そんなに目潤ませていては説得力ありませんね」
「は?ハイセが、近いから……っだから退いてってば!」
「何故僕が近いと、ダメなんです?」
「え?」
「このくらい、お嬢様が小さな頃からよく近づいておられたでしょう。ハイセ、ハイセ、と、あの頃はよくお嬢様の方から抱きついてきたではありませんか」
「な……っ、今と昔は、違うもの」
「何故ですか」
「な、なぜ、って」
ハイセの。
ハイセが。
…………ハイセが、そんな顔、するからじゃない。
熱っぽくゆらゆらと揺れる瞳がやけに色っぽくて。
かっこ、よくて。
直視、できない。