第4章 おやすみのお時間です
待って。
あたし今日、何を買ったっけ。
あれ?
え、と。
じゃ、あれ全部。
ハイセの。
「初デートの記念、でございます」
ボンって。
大きな効果音をバックに顔の温度がさらに沸点を越えた。
「…………」
すごく驚いたようにあたしを真っ直ぐに見下ろすハイセの視線から逃れるように。
ふい、と。
視線を右へと反らす。
何故だかわからないけど。
『デート』というものを意識した瞬間、妙に恥ずかしくなったんだもの。
恥ずかしくて、ハイセの顔、見れなかったんだもの。
自分でも何故こんなことを思うのか、わからなくて。
だけどなんだか、とにかく恥ずかしくて。
ハイセの真っ直ぐな視線から逃げたかったの。
「お嬢様」
「え?」
ぎし、っと。
あたしを跨いだハイセの体重分、ベッドが沈む。
「ハイセ?」
驚くあたしには気にも止めずに、ハイセの両手はあたしの耳の真横でピンと伸びている。
右に視線を反らしたままのあたしの視界には、ほどよく筋肉質な腕と、浮き出た血管がうつりこみ、それにすら耐えきれないあたしの、正面にはあたしを見下ろすハイセの瞳。