第3章 僕とデートして下さい
「お嬢様、息、吸って」
キスの合間に、ハイセが低く、呟く。
「鼻から、出して」
激しいキスの合間に、ハイセが角度を変える度にできる小さな隙間。
その一瞬に、息を吸い込んで。
唇が重なって、激しく舌を絡めとられると、鼻から息をゆっくりと吐き出す。
……激しいキスのせいで苦しいのは、代わりないけど。
時々ハイセが作ってくれる空気のおかげで。
前のように酸欠とまでは、ならなくなってきた。
「お嬢様、舌、出して」
なんでかな。
すごく、ハイセのキスが気持ちよくて。
頭の中チョコレートみたいにドロドロに溶けちゃったみたい。
じゃなきゃ絶対、ハイセのゆーとーりになんか、しないもの。
「上手、お嬢様」
ピチャピチャ、って。
いやらしく響く水音が、脳の神経までも麻痺させていく。
どのくらい、キスしてたのか。
やっと離れたハイセとあたしの唇から、銀の糸が一本伝って、切れた。