第3章 僕とデートして下さい
「んぅ………っ」
中から、強引に甘いものが口の中へと入ってくる。
ハイセの唾液で薄められたそれは。
とはいってもほとんど濃厚な生クリームの味で間違いないのだけれど。
ほんのりと生温かくて。
変な感じ。
「………っはぁ、……甘ったる」
唇を離した途端に怠そうに顔をふるハイセの、髪の毛からハイセの匂い。
いつもと違う、ハイセに。
不覚にもドキン、と何かが跳ねた。
「美味しかったですか?」
あたしの視線に気付いたハイセの、妖艶な笑顔。
「……な、わけないでしょ!退いてよ!ってか、返しなさい!」
「どうぞ?」
「え」
「落とさないで、下さいね?」
ハイセの左手にあったクレープは、いつの間にかあたしの右手に収まっていて。
「さぁお嬢様、お勉強のお時間です」