第2章 ダンスのお時間です
「…………は?」
涼しい顔したまま、キレイな顔が至近距離まで近づいてきたのを認識したと同時に。
目の前に影が出来た、瞬間。
ハイセの唇は、あたしのそれにくっついてた。
ついでに。
特に何の警戒もしてなかったあたしの体は、ハイセの舌の侵入までも容易にする。
気付いたところで。
ハイセの胸を力いっぱい叩こうが、全然びくともしないし。
逆に片手で両手首をきつく拘束されておしまい。
もう片方の手で腰を引き寄せられれば、更に密着する体。
さらにさらに、奥へと侵入してくるハイセの舌。
免疫のないあたしが一気に呼吸困難になるのなんて、そんなのあっとゆーまだ。
「…………お嬢様」
酸素不足で死にかける一歩手前、やっと唇が離されると同時に吸い込んだ大量の空気。
もちろん、一気に咳き込んだ。
「きちんと呼吸、して下さいね、死にますよ?」
誰のせいだ!
あんたが離してくれなかったくせに!
と、咳き込んで涙ぐんだ瞳でにらみあげる。
残念ながら、口は今、空気を取り込むので忙しいんだ。