第2章 ダンスのお時間です
「なんですか、その目、誘ってます?」
「誰が………っ!」
やっと声帯が反応したってゆーのに。
また、あたしの意思なんて関係なく唇が重なった。
「…………っ」
だけど。
今度は何度も何度も角度を変えたり、啄むように下唇を噛んだりと。
なぜか、苦しさがなくて。
合間合間に呼吸ができるような、そんなキス、だった。
「………………ハイセっ」
「はい、お嬢様」
危うくキスを受け入れそうになった。
違う。
だめよ。
気持ちが通じあってないキスなんて、キスなんかじゃない。
トロン、と溶けそうになった意識を呼び起こして。
思い切りハイセを引き剥がす。
今度はなぜか、すごく簡単に、それこそビリッと効果音でも付きそうな勢いで、ハイセはあたしから剥がれた。
「あんた、2回もこんなことして許されると思ってんの?」
「ですから、自己責任で、とおっしゃったはずですが?」
「は?」
「それでもダンスに誘ったのはお嬢様でしょう?」
「こんなことは、していいなんてゆってない!」
「ですがお嬢様、僕も男ですので」
「…………なによ」
「触れたくもなります」
サイドに流れ出た髪を一束手に取ると、ハイセは慈しむようにそれに口付けた。
「……………っ」