第2章 ダンスのお時間です
やっぱり涼しい顔しながら後片付けをするハイセを、盗み見る。
この人。
なんで執事なんてやってんのかしら。
こんだけ顔面偏差値も、頭の偏差値も高ければ他にもあると思うのよね。
たぶんどんな仕事でも完璧にこなすだろう。
「いかが致しましたか?」
「うん」
ポカンと、あたしの視線に気づいたハイセは、首を傾げる。
「ハイセはなんで、執事なんてやってんの?」
「…………」
ポカン、と傾げられた頭はそのままに、みるみる見開かれていくハイセの切れ長の漆黒の瞳。
「ハイセ?」
固まったハイセに、そう呼び掛ければ。
すでにそこにはいつもとなんら変わらない彼の姿。
「はい」
にっこりと笑みをこぼすのは、確かにいつものハイセだ。
「自由時間の多さ、でしょうか」
「は?」
「お嬢様が昼間学校に行っておられる間は比較的自由ですし、夜もお嬢様が早く眠っておいでになるので、けっこう夜の外出も自由です。」