第2章 ダンスのお時間です
ダンスレッスン。
最低限の嗜みとして、幼少の頃からレッスンは受けてきた。
受けてはきたけど。
人には得手不得手ってものが、あって。
それでもなんとか両親を誤魔化してきたってゆーのに。
それなのに!
全部全部、あの男のせいでっ。
「失礼ですが西園寺様、先ほどから雑念がでてきております」
「あ」
「少し休憩なさいますか?」
「…………いえ、大丈夫です。続けて下さい」
西園寺家の一人娘たるあたしが、ダンスもまともに出来ないとあっては、両親はすぐにでも日本に帰って来るだろう。
さすがにそれだけはあたしのプライドが許さない。
そこで、ハイセが手配したのがこの別荘なのだ。
「………ふぅ」
1時間もレッスンを続けていれば。
さすがに額からは玉の汗が流れてくる。
「お疲れ様でした。本日はここまでに致します」
「ありがとうございました」
こっちが肩を上下させてるってのに、彼は一呼吸も乱れてない。
さすがとしか言えないわね。
ダンスなんて優雅に見えるけど、実はかなりの体力勝負。
数分間だけでも踊ったりすればそれはかなり息も荒くなる。
そこを敢えて平静を装わなくてはいけない。
ついでに、あのドレス、実はかなりの重さがあったりするのよ。